名古屋市千種区にある星ヶ丘皮フ科のアトピー性皮膚炎

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アトピー性皮膚炎ATOPIC

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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う病気です。
30年程前までは、アレルゲンを出来るだけ避け、ステロイド薬の治療で成長とともに治っていく病気でした。
しかし、最近は治らない人が多くなると同時に、
成人になってから、罹ってしまう人が増えてきています。
そして、成人型のアトピー性皮膚炎は、日本に多いですが、海外ではとても稀な疾患です。
日本でも30年前までは、今の海外と同じで稀な病気でした。
この30年間の日本の中で起こっている変化が、成人型アトピー性皮膚炎の原因になっていると考えられます。

アトピー性皮膚炎が増えてきたのは

30年間で大きく変化し、日本で特に目立つ事は、食品における添加物(化学物質)や、農薬の種類と量の増加です。
また、米を中心とした食事から、ポストハーベストで汚染された小麦を多く摂る食生活に、変化している事も大きな問題です。
世界の先進国で、小麦の遺伝子操作によるグルテンの質と量の変化で、様々な健康被害が報告されています。
欧米では、グルテンフリー(小麦を排除する)が広がっているにも関わらず、日本ではその小麦にさらに、輸入先の港で防腐剤を直接混入(ポストハーベスト)した小麦を食べています。
さらに、日本人の主食である米も遺伝子操作により、よりおいしくて、害虫に強い品種がたくさん作られてきました。
アトピー性皮膚炎の方は、もちもちした食感を持つこしひかり系の米で症状の悪化が見られます。

アトピー性皮膚炎の特長

  • 乾燥肌

    外からの保湿はもちろんですが、内側からの保湿には生オイルの経口摂取が大変有効です。
    従来、油はアトピーに悪いとされてきましたが、酸化していない、きれいなオイルでω9脂肪酸(オリーブオイルなど)、ω3脂肪酸(亜麻仁など)を摂取すると、皮脂膜が形成され、驚く程に肌に潤いが戻ります。
    生オイルの摂取は飲む保湿剤です。

  • 皮膚のフローラ(常在菌)の乱れ、黄色ぶどう球菌(病原菌)の生着

    腸内フローラと同様に、皮膚にも現在、40種類程の菌が生着している事がわかっています。
    腸内環境と同様に皮膚環境を整える事は重要で、それは皮膚のフローラの多様性とバランスが良い状態のことです。
    バランスの良い菌の棲家は皮脂膜です。乾燥肌(皮脂膜がない)には良い菌は棲めないのです。
    ①でお話ししたように生オイル摂取が大事になります。そして、防腐剤などの食品添加物や農薬、これらは微生物や虫を殺して食品を守っていますが、これらが私達の体内に入ると、私達の腸内や皮膚の大切な菌を傷つけてしまいます。
    日本の食品は傷まないのが有名で、コンビニエンスストアのサラダなどは、コンポスターに入れても変化せず、おにぎりも一ヶ月間腐らないと言われています。多くの食品添加物が投入されていると考えられますので、注意が必要です。
    あらゆる動物は微生物と共存していますので、微生物を守るために化学物質や農薬の少ない食品を選ぶ事が必要です。

  • 炭水化物(米、小麦製品)への執着
    過食傾向

    この2つ(③、④)は同時発症で、赤ちゃんからお年寄りまでこの傾向が見られます。
    この状態が改善されれば、実はアトピーを克服したも同然なほど、アトピー性皮膚炎の症状と同調しています。
    この2つの状態は、無理矢理変える事は難しく、意思の力だけで向き合うと、反動という形で苦しむ事になります。
    着実にゆっくりと、炭水化物への執着や過食をやめていくためには、心を柔らかくして炭水化物以外の食品、つまりタンパク質と脂質を増やすことに意識を向けて実践していきます。
    タンパク質に関しては、お肉、たまご、牛乳などの乳製品、そして栄養補助食品のプロテインは特におすすめです。
    脂質は①でお話ししたように、生オイルをたくさん経口摂取します。
    皆さん驚かれますが、成人男性では1日当たり大さじ5杯、女性で大さじ4杯をおすすめしています。タンパク質と脂質が十分摂取出来ると、空腹感が減るので炭水化物の量が徐々に減っていきます。

この4つはほとんどのアトピー性皮膚炎の方に見られる傾向です。
それぞれに対してのアプローチが必要となりますのでお気軽にご相談ください。

アトピー性皮膚炎の皮膚以外の症状

糖質中毒 反応性低血糖

アトピー性皮膚炎、にきび等、皮膚にトラブルのある方のほとんどは、糖質依存の状態になっています。
炭水化物は消化されてブドウ糖になり、血中では血糖の上昇が起こります。
高血糖を正常に戻すために、インシュリン(膵臓から分泌されるホルモン)が分泌されて、約1.5時間から2時間後に血糖が元の状態に戻ります。
ところが、糖質を頻回に摂る方はインシュリンが正常に働かなくなり、食後3~5時間後に、低血糖(正常よりも血糖が低くなる)になってしまいます。
低血糖状態はふらつき・倦怠感・いらいら・頭痛・など様々な症状を引き起こします。
高血糖と低血糖を繰り返すことは、身体にとっても、皮膚にとっても大きな負担となります。

日内リズムの乱れ

日内リズム

ステロイドホルモン値は、正常人では午前4時~5時頃にピークとなり、6時頃に目覚めることができます。
午後からはホルモン値が低下してきて、夜に自然と眠気がきて入眠します。
一方アトピーの方は午前中にホルモン値が低いので、活動性が低下します。
午後から多少の上昇が見られて、かえって寝つきが悪くなります。

重症アトピー性皮膚炎の方は、体内で副腎皮質ステロイドの産生能力が落ちてくるので(副腎疲労症候群)、健康な人にそなわっている、副腎皮質ホルモンが作る、日内リズムが乱れてしまいます。
副腎皮質ホルモンは、人間が生きる上での活力の元になるホルモンです。
健康な方は早朝に多く分泌され(心地よい目覚め)午前中に高く、徐々に低下し、夜には安らかに入眠ができます。
一方、アトピーの方では、午前中に分泌が悪いので、体はだるく(健康な方の夜間のよう)、夕方に少し上昇するため、夜はまあまあ元気で、眠りにつきにくかったり、睡眠が浅いなどの弊害が起こります。

これらの日常生活に支障をきたす全身性の症状がありますので、
アトピー性皮膚炎の方は、皮膚炎だけの治療では健康を回復することはできません。
食事から見返して、本来の身体と皮膚を取り戻していきましょう。

治療方法

  • 生物学的製剤 (バイオ医薬品)

    2018 年に登場したデュピクセントはアトピーを根本的な治療薬になることが期待されています。
    その後も新薬が沢山発売されています。
    生物学的製剤は既存の外用薬で一定期間治療しても効果が不十分な症例に適応となりますが、その効果は目を見張るもので、痒みの激減・肌のバリア機能の正常化(乾燥肌が治る)が見られます。アトピー性皮膚炎で苦しんでおられる方はご相談ください。

    デュピクセント(注射薬)

    IL-4とIL-13という物質(サイトカイン)の働きを抑制することで、Th2細胞による炎症反応を抑え込むことができるという、アトピー性皮膚炎治療薬としては初の生物学的製剤(バイオ医薬品)。重症患者への治療に大きな効果が見られます。
    さらに2023年9月に生後6ヶ月からの投与が承認され、高い安全性が確認されています。
    販売 : サノフィ株式会社
    この製剤は注射剤です。
    >>詳細はこちらまたは下記からご確認ください。

                        
            

    そのほかにもいかに紹介する生物学的製剤がありますが、当院では基本的にデュビクセントをお勧めしています。
    抑制するサイトカインが限局的で、 免疫抑制作用が少ないからです。

    コレクチム軟膏(外用剤)

    2020年6月に承認されたJAK阻害剤。生後6ヶ月以上の小児アトピー性皮膚炎としての効能も追加されている外用薬。
    販売: 鳥居薬品株式会社

    オルミエント (内服薬)

    2020年12月に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」に適応が追加されたJAK阻害薬。15歳以上向けに4mgを1日1回内服。2mgに減量可能。
    販売: 日本イーライリリー株式会社

    リンヴォック (内服薬)

    2021年8月に追加承認された経口JAK阻害薬。15mgを1日1錠、毎日内服する。12歳以上の小児アトピー性皮膚炎にも適応あり。30mgに増量可能。
    販売: アッヴィ合同会社

                 
    サイバインコ (内服薬)

    2021年12月から使用可能になったJAK阻害薬。
    販売: ファイザー株式会社

                
    モイゼルト軟膏(外用剤)

    2022年6月に発売された外用薬。ホスホジエステラーゼ 4 (PDE4) 阻害薬。
    販売: 大塚製薬株式会社

                 
    ミチーガ(注射薬)

    IL-31 の受容体、IL-31受容体Aをブロックするモノクローナル抗体の注射薬。
    販売:マルホ株式会社

                 
    アドトラーザ (注射薬)

    IL-13を選択的に阻害する生物学的製剤。注射薬。
    販売: レオファーマ株式会社

  • ミネラル療法(亜鉛・硫黄・鉄の3つの柱)
    亜鉛

    400以上の酵素に関与しています。
    皮膚の機能を多方面から支えて正常にします。
    胎児・子供の正常な発達には不可欠で、創傷治癒にも働きます。
    また、免疫を正常に保つためにも必要です。
    受診された方のみ、院内処方の「キッズミネラルズ」を処方しています。
    ※年齢や個人の状態によって決めさせていただきます。(MSM、亜鉛など含有)

    硫黄(MSM)

    硫黄は皮膚、髪、爪、関節、骨の主成分であるコラーゲンのS-S結合を作り、コラーゲンの弾力性を作っています。
    その他に免疫機能の回復、痛み等を抑える働きがありますが、食品にはごく微量しか含まれていません。
    MSMはメチルスルフォニルメタンと言って生物の体内に存在する硫黄の有機化合物です。
    日本ではほとんど認知されていませんが、欧米では多くの本が出版されるほど有名なミネラルです。
    受診された方のみ、院内処方の「キッズミネラルズ(MSM、亜鉛など含有)」を処方しています。
    ※年齢や個人の状態によって決めさせていただきます。

    ヘム鉄

    地球は鉄の惑星と言われるほどで、全ての生物は鉄を利用して生きています。
    あらゆるミネラルの中で、最も多量に必要で体そのものの維持に絶対不可欠な存在です。しかし鉄不足による貧血、疲れ、冷え、頭痛などが女性や子供で目立っています。
    当院では、体内での鉄の状態を把握するために血液検査(ヘモグロビン量、フェリチン)を行っております。
    フェリチンに関しては栄養学的には80以上が必要であるにも関わらず、40以下の方がほとんどです。
    鉄欠乏状態では全ての治療がうまくいかない程、鉄は栄養の基本中の基本です。
    治療では、基本的には医薬品の鉄剤を処方致しますが、胃腸障害の副作用があります。その際は、胃腸に優しいヘム鉄というサプリメントをおすすめしています。

  • 食事指導

    アトピー性皮膚炎の治療には食事のバランス変更がとても大事で、ここを押さえないと根治はできません。
    現代は30年程前と食生活が大きく変化し、アレルギー性疾患が激増しています。さらに、成人型アトピー性皮膚炎は、日本に特有な疾患です。
    30年間の日本の変化を知ることで、アトピーや皮膚のトラブルを軽減させるコツがつかめます。
    一人ひとりに合った方法で食事指導を行っておりますのでお気軽にご相談ください。

    食事指導でのポイントは大きく分けて
    「食品選び」と「食事のバランス」です。
  • 食品選び
    食材

    安全な食品

    • 虫がつく
    • 腐る
    • 遺伝子操作がされていない
    • 添加物が少ない
    • 農薬が使われていない(低農薬)

    避けるべき食品

    • 虫がつかない
    • 腐らない
    • 遺伝子操作がされている
    • 添加物が多いもの
    • 農薬が使われているもの
    小麦

    ワーストワン 避けるべき理由が揃っている。遺伝子操作でグルテンの質と量が変化して健康被害の原因となり、輸入小麦はポストハーベスト、国産小麦は農薬が問題。そして加工品には添加物が使われやすい。
    オーガニックの小麦粉であれば、少量使用が可能。

    コシヒカリは遺伝子操作が重ねられている。もちもちした食感のお米は避ける。昔ながらのあっさりした食味のユキヒカリ・ササニシキがおすすめ。

    農薬

    農薬(特にネオニコチノイド)の残留量が多い食品は茶飲料、果物、野菜。
    オーガニックや低農薬の食材が望ましい。

    外食

    多量の添加物が使用されている可能性が高く、小麦も多く使われている。
    可能な限り避けるべきだが、食材に気を使っているお店は問題なく利用できる。

  • 食事のバランス

    「高タンパク・高脂質・低炭水化物」、この3つのバランスが重要です。
    アトピー体質の方は、炭水化物への執着が強いので、減らすことに気持ちを集中せずに、タンパク質と脂質を増やす方に、気持ちを向けていきます。
    その結果、徐々に炭水化物の量が減ってきます。
    炭水化物を我慢するよりも、はるかに成功率が上がります。
    例えば、「ゆきひかりを主食にしておかずを十分に摂るようにする」などは、小麦が食べられないという精神的な苦痛を和らげてくれます。

「脱ステロイド」から
「卒ステロイド」へ

アトピー性皮膚炎が治らないと一度ためしてみたくなるようですが、実は、脱ステロイドでアトピー性皮膚炎が治る事はありません。
なぜなら、アトピーの原因がステロイドではないからです。むしろ、脱ステロイドにより、治りが悪くなる恐れがあります。
それは、脱ステロイドをすると全身の皮膚に激しい炎症が起こるため、体力が極端に低下してしまうからです。
この慢性に続くストレス(かゆみ、湿疹)で体力だけでなく、体内でステロイドホルモンを産生する副腎も疲労してしまいます。
副腎が、ステロイドホルモンを産生する力が落ちている状態を、慢性疲労症候群と言いますが、浅黒い皮膚で疲れきった様相になってしまいます。
当院では、脱ステロイドは行いません。
ステロイドが必要なくなる状態の「卒ステロイド」へ導いていきます。
それは、脱ステロイドの時のような深刻な症状を起こすことなく、ステロイドにより、皮膚炎を治めながら、その使用量を減らす治療です。
食事の指導やミネラルの補充などでアトピーが治れば、ステロイドは必要なくなります。

「脱ステロイド」をする前に1度ご相談ください。

私は、現代医学的な治療、漢方薬、食事療法、脱ステロイドなど、様々な治療で、試行錯誤を続けてきましたが、「ミネラル療法(亜鉛・硫黄・鉄)」を中心とした、ビタミンとミネラルの補充療法を始めてからは、それまでと全く異なった治療効果を経験するようになりました。
まず、治療を受けている方が元気になることが最大の利点です。
さらに、炭水化物中心から、タンパク質と脂質中心の食生活に変えることで、体全体が見違えるように元気になります。
アトピー性皮膚炎の方は、本人が自覚していなくても、とても疲れています。
全身に及ぶ炎症、かゆみでの「不眠」と「見える病気」であることのストレスが重なって、身体は大変過酷な状況にさらされています。
ところが、亜鉛などの必須ミネラルの服用を始めると、声も小さく、うつむき加減だった人たちが、ニコニコと笑顔で明るく話してくれるようになります。

さらに、それと並行して皮膚の状態が大袈裟ではなく、生まれ変わるという感じに変化してきます。
こうなってくると、私たちの身体の自然治癒力が、ゆっくりと確実に働き始めていることを実感できます。
心の状態も、身体が良くなるにつれて軽やかになっていきますので、少しのアドバイスで、生活や気持ちの持ち方を、自分で変えていけるようになります。
私は、その変化を見させていただくたびに、自然治癒力の素晴らしさに感動しています。
現代医学的に、アレルギー反応を抑制して克服するという、ある意味では強引に身体の働きの一部に、力を加えるような方法では、こんなに健康的な変化は得られなかったと思います。